あとから読み返して、良く考えてみるともしかしたら適切でないかも知れない、と思えば消しゴムで消すことができるが、口から放ってしまった言葉を取り消そうと思ったら、会話の当人に謝らなければならず、謝った言葉がまた相手を傷つけ、汚れ、傷を深くする。

人類の数十万年の歴史の中で、これほど身体を使わない生活はかつて経験したことがなく、空想に空想を重ねる不安や心配を、ひっきりなしに脳内で生成しなければならない状況も、現代ほど過剰に経験したことはかつてなかったはずだ。

現代社会に生きる僕らは率直に言えば世界を甘く見ている節がある。何か途轍もなく大きな要素をうっかり見過ごしているように感じられてならない。