効率化と合理性
数え切れない人々が駅構内の乗り換えや出口へと縦横無尽に行き交う。全ての動きは悉く一直線だ。どれも限定的決定的で、時間軸にも進行方向にも選択肢は無い。効率化と合理性は知らぬうちに僕の呼吸を浅くして、僕らの日々は気付かないうちに朦朧としている。
犬の系譜 其の八
ジョジョの生き方は、この御時世では時流にそぐわない身勝手なそれだったと判断されるのは仕方がない。しかし、ジョジョの、犬としての本能から言えば、ジョジョは犬としての誠を貫いたのだろうと思う。
犬の系譜 其の七
その記事にはびしょ濡れで不自然に身体を強張らせたまま、舌を無造作に出して眼を閉じているジョジョが写っていた。紛いも無くそれはジョジョだった。
犬の系譜 其の六
病状の回復とは裏腹に、なんとなくジョジョの様子は不自然な気がした。何かに焚き付けられたように早朝から夕方まで、家を留守にすることが増えていった。
犬の系譜 其の五
ジョジョは診察台に載せられ、とりあえずリーシュマニア症の簡易検査をした。血液から反応を調べるものであるが、結果はすぐに判明し、予期したとおりジョジョは陽性だった。
犬の系譜 其の四
僕はジョジョのポートレイト写真を撮るのが好きだった。暇を見付けては庭でのんびり過ごしているジョジョを写真に撮っていた。
犬の系譜 其の参
僕が電車で出掛けるときは、駅までお互い徒歩で一緒に行って、僕は望むに電車に乗り込み、ジョジョはホームでお座りしながら僕の出発を見届け、そのあとはきっと街をしばらく散策して、のんびり帰宅していたようだ。
犬の系譜 其の弐
ふと、ツミレは立ち止まり、何やら耳を澄まして前方の草むらを凝視した。こういう時、大概は何かしら小動物の気配を感じているのである。獲物の存在を確信するとツミレは狩猟態勢に入る。
犬の系譜 其の壱
僕が5歳の頃、うちに犬がやってきた。やってきたというよりも、もとはと言えば子犬を貰いにこちらから出向いたのだが。
芸術と創作
人口が一万分の一まで減少すると、総人口は80万人になる。この程度であれば人類はこの惑星でしばらくは謙虚に生きていられるだろうか。